基板の修理、補修や予防保全の仕事に携わっていると、ユーザー様から聞かれたり、自分でもよく分からなくなるテーマがあります。それは・・・・
「故障ってなんだろう?」
今回の記事は、いつもの「基板補修研究会での基板修理、補修実績のご紹介」とは趣向を変えて概念的なお話をしてみようと思います。
まず、「故障」 というのはどう考えればよいのでしょうか?
「故障の定義」 は、 JIS X 0014に 定義されています。
故障:要求された機能を遂行する,機能単位の能力がなくなること。
また、 JIS Z 8115にはさらに詳しく定義がなされています。
故障 :アイテムが要求機能達成能力を失うこと。
備考1. 一般に,アイテムは故障の後フォールトをもつ。
備考2.“故障”は,イベントであり,状態である“フォールト”と区別される。
備考3.ソフトウェアを含むシステムは故障事象をもち,その要因はシステムを構成するハードウェア,ソフトウェア,及び人的要素等の個々の状態又はそれらの組み合わさった複合状態に起因した不具合及び故障によっても発生する。
備考4.システム故障は系全体の機能の喪失又は規定された機能水準を下回る,系の一時的機能低下,すなわち,系のサービス中断として用いる。
備考5.ソフトウェア故障という用語は,一般にシステム故障が発生したときの状態において使用される。
備考6.イベントと状態を厳密に区別しないで“故障”ということかある。
平たくまとめると、もともと このような機能を発揮するはずの装置が その機能を発揮できないようになっている状態 を 「故障」 と呼ぶということです。
ということであれば、 部品単位では、故障状態であっても、系全体では、機能を発揮している場合は、 「故障ではない」 ということになります。
ユーザーにとってみれば、電解コンデンサの容量が 〇〇F 以上あること というのは、必要な機能ではなく、 昨日は、I/Oの信号が読み取れることだったりするわけで、そしたら、電解コンデンサの特性が劣化している状態は、故障とういう状態ではない。設計余裕の数値より下回った時に初めて機能に影響し、「故障」となる。
電解コンデンサが液漏れしていても、何とか基板が動いていれば、それは「故障ではない」。 しかしながら、基板のメンテをする人にとっては、コンデンサが液漏れしている状態は、立派な「故障」
このように考えると、その装置に向き合う人によって、「故障」だったり「故障じゃなかったり」 する訳で、「故障」ひとつをとっても、考えれば考えるほど 奥が深く、禅問答のようなお話に陥ってしまいます。
基板補修研究会では、 基板の「故障」を修理したり、 基板を「故障」させないための補修、保全も提案しています。
しかしながら、そもそも「故障」の定義が、ユーザー様によってとらまえ方が違うようです。 このようなことをしっかり意識することで、ユーザー様のお立場に応じた、さまざまな提案ができるのではないか。 また、それができるよう、日々努力していきたいです。
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