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- 制御基板のはんだ部の劣化評価

基板補修研究会であつかってきた制御基板、プリント基板では、はんだ部の劣化が著しいため、故障につながっているケースはあまり経験がありません。
が、使用環境によっては、はんだ部の劣化も考慮した保全が必要であるという論文をご紹介いたします。
JR東日本様の技術論文 「JR East Technical Review」N0.17 「信頼性の向上をめざしたメンテナンス技術」
新幹線電車用電子機器の劣化評価
この論文には、新幹線車両(400系、E1系)に搭載している電子機器の劣化について記述されている。
新幹線400系とは、平成4年から平成22年までJR東日本の山形新幹線「つばさ」用に開発された車両である。
論文の400系車両の劣化評価の項目では、以下のようなまとめとなっている。
400系新幹線の主制御整流装置(MRf)用電子機器の劣化調査及び余寿命評価を行った。その結果、はんだについては、加速試験により今後の余寿命として14年という結果を得たが、調査時(稼動年数15年)にはんだクラックが一部発生し始めていることから、今後継続して使用するにあたり、定期的にはんだ部の調査を実施する必要がある。
論文中での劣化評価は、主に以下のような調査から評価されている。
- 通電時の温度上昇が著しい部位でのマクロ観察によるクラックの現認(約10年稼働の制御基板)
- 125度~ー55度間のヒートサイクル試験による寿命推定(この推定によると、稼働29年ではんだ部のクラックで故障発生)
- 基板上の他部品のX線観察、部品(電解コンデンサ)の劣化推定
記事冒頭にも述べたが、これまで基板補修研究会で取り扱ってきた制御基板、プリント基板で、はんだクラックが主な問題となって補修を実施した実績はないものの、使用環境によってははんだ部の劣化調査を主目的とした補修・保全を実施しなければならない基板もあるということがわかった。
このような、世の中の事例も参考にしながら、基板補修に取り組んでいきたいと考えております。
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