基板補修研究会が基板補修・修理を手掛けた、もしくは手掛けようとしている制御システムについて、電気プラントメーカー毎にご紹介いたします。
東芝製 DCドライブ装置
1800年代から実用化されている直流電動機(DCモーター)。 その制御用ドライブ装置のラインナップが 東芝LEOPACK シリーズです。
この DCドライブ装置LEOPACKシリーズは、昭和47年(1972年)の東芝レビューで 従来の 「ワードレオナード方式(MG)または水銀整流器による静止レオナード方式に代わる「サイリスタレオナード方式」の新シリーズ」と紹介されている伝統ある製品ラインナップです。
従来、当社(東芝)では各回路を機能別にユニット構造で標準化を計ってきたが、この経験と実績をもとにして斬新な構成による新シリーズに統一化し、高信頼性、小型化、高性能化を積極的にはかり、ユーザー側の計画に即応するとともに、希望に応じた機種の選択が自由にできるよう新しく「レオパック(LEOPACK)」の愛称でシリーズ化を行った。
昭和47年(1972年)当時のDCドライブ装置(サイリスタレオナード装置)のラインナップは、以下のようになっています。(当時の基板はアナログ制御装置)
・LEOPACKⅠ ・・・ 0.25~7.5Kw(220V) (一方向)
・LEOPACKⅡ ・・・ 7.5~75Kw(220V)、37~185Kw(440v) (一方向)
・LEOPACKⅢ ・・・ 3.7~150Kw(220V)、37~375Kw(440v) (一方向)
・LEOPACKⅣ ・・・ 3.7~110Kw(220V)、30~250Kw(440v) (両方向)
※ あくまでも、個人的な推定ですが、このシリーズのドライブ装置は、ほとんど実稼働していないと思います。もし、このシリーズの製品(装置)が実際に工場で稼働しているとすると、相当レベルの高いメンテナンスをされ、維持されていると思います。
更に、時代をさかのぼり、昭和56年(1981年) 全デジタル形 サイリスタレオナード装置 として紹介された LEOPACKの新シリーズがあります。
「LEOPACK ーμ シリーズ」
昭和56年の東芝レビューに紹介されています。
標準サイリスタレオナード装置「LEOPACK」シリーズは、1971年(昭和46年)に発売開始以来5,000台以上の製作実績をもち、国内外のユーザー各位から好評を得ているものである。この間には、省エネルギー、省資源、省力および総合的な経済性の追求などのニーズにも呼応した「LEOPACK」新シリーズを発表し今日に至っている。(中略)
従来のアナログICによる制御技術(略)を更に発展させ、次期のレオナードシステムとして「LEOPACK」μシリーズの開発を進め、製品化を完了した。当社(東芝)の全デジタル形モデル「LEOPACK」μAシリーズは、豊富な実績と経験を基に最新のパワーエレクトロニクス技術とマイコンアーキテクチャを駆使して開発製品化されたものである。
平成の現代からみたこの文章は、使われている単語に違和感はあるものの、現在のプリント基板、制御基板の原型となるものであることは間違いありません。
この当時の製品ラインナップは以下になります。
・LEOPACK-μA 20、 LEOPACK-μA 40、LEOPACK-μA70、LEOPACK-μA90、LEOPACK-μA120
この後、多少ラインナップに追加があったかもしれませんが、直流電動機のドライブ装置として東芝が直流電動機の製造・保守を撤退するまで、この「LEOPACK-μ」シリーズは作り続けられた製品であったと思われます。
この「LEOPACK-μ」シリーズのプリント基板、制御基板の補修について、最近 基板補修研究会でも取り扱うことがありました。
この「LEOPACK」の製造メーカーである「東芝」が直流電動機を製造・保守しない、更に、このビジネスは他社(TMEIC)が担当することになった現在、この「LEOPACK」、DCドライブ装置の機能維持のためにメンテナンスを続けていくことは、非常に難しいと思われます。
このような困難の中、日々頑張っている現場の保全マンを応援するために、我々「基板補修研究会」も微力ながらお手伝いできればと考えています。
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